最近は【エコノミークラス症候群】という言葉をニュースやネットで よく聞くことがあります。
正式名は「肺血栓塞栓症(はいけっせんそくせんしょう)」。
(「静脈血栓塞栓」と呼ばれる場合や「旅行者症候群」「ロングフライト血栓症」とも)
“ 飛行機(エコノミークラス)に長時間乗っている人が発症する病気 ” というイメージのある【エコノミー症候群】。
現に 元サッカー日本代表である「高原 直泰(たかはら なおひろ)」さんも 2002年飛行機のビジネスクラスで移動中【エコノミークラス症候群】を発症しました。
(サッカー選手でもなるの!?って驚いた記憶があります)
ところが、実際は “ 飛行機 ” だけでなく ときに日常生活でもなりうることが分かってきました。
特に 地震や台風災害後 避難するのに “ 車中で寝る避難生活 ” を行なうばあい、注意が必要ともわかってきました。
【エコノミークラス症候群】の地震災害の発症例やその症状。
また どんなことに気をつけ 防止すればよいのか?調べてみました。
Contents
【エコノミークラス症候群】は熊本地震でも多発
2016年(平成28年)4月14日に起きた熊本地震(くまもとじしん)。
(ツイッターより引用)
忘れもしない2016年4月14日(木)21時26分、熊本地震前震。間もなく同日同時刻になるので、犠牲になった方々へ黙祷を捧げ、復興に尽力をいただいている方への感謝の意を祈りとともに込めようと思います。 #熊本地震から2年 #熊本地震 #PrayforKUMAMOTO #prayforOITA #prayforKYUSHU pic.twitter.com/j0HAqV29vp
— ふ⃝る⃝ぽ⃝ん⃝ぽ⃝ー⃝ん⃝。⃝ (@furuponpoooon) 2018年4月14日
熊本地震により、多くの地震被災者が自家用車などで寝泊まりをしました。
車中泊により 50人以上が【エコノミークラス症候群】で病院へ入院、 うち1人のかたが亡くなられました。
熊本地震(くまもとじしん)では 最も大きい震度7の地震が4月14日夜に発生。
また 4月16日未明にも震度7の地震が発生。
そのほか 最大震度が6強の地震が2回、6弱の地震が3回発生したため、家庭や避難所に備蓄する「飲み水」が無くなった。。。
(※水を飲まないと 水分不足のため 血液が濃くなる)
加えて 家に帰れず 長期の車中泊の被災者も多かったため【エコノミークラス症候群(肺塞栓症)】の発生者が増えたのではないかとも言われています。
「新潟県中越地震」でも報告あり
2004年10月23日に起こった M6.8の「新潟県中越地震(にいがたけんちゅうえつじしん)」。
長岡市や小千谷市などでは、避難者が最大10万人に上りました。
そのため 緊急の避難所は混み合い、気兼ねのない車中泊する人も多かったそうです。
この「新潟県中越地震」では【エコノミークラス症候群】を含めた震災関連死が52人でした。
ショックなことは 2005年の調査によれば、車中泊でない[避難所生活]のかたにも 血栓が見つかったこと。。。
この理由は 避難所の就寝スペースが狭く 窮屈な姿勢がおおいため 車中泊と似た環境に近く 血栓ができやすいのです。
(大きなワゴン車やボックスカーで寝泊まりした場合 避難所のかたの約4割しか血栓が見つからなかったという事実も)
ようするに 血栓が増大し【エコノミークラス症候群】になるのは 車中泊に関係ないのかもしれません。
せまい空間で 運動不足や水分不足であると【エコノミークラス症候群のリスク】は高まります。
そんな【エコノミークラス症候群】の症状とは どんなものでしょうか。
【エコノミークラス症候群の症状】とは
それでは【エコノミークラス症候群の症状】とは、どんなものがあるのでしょうか。
●【エコノミークラス症候群 主な症状】
『呼吸困難』
『息切れ』
『急な胸の痛み』
『不安感』
『動悸』
『冷や汗』
『足や膝(ひざ)のむくみ・腫れ』
『ふくらはぎの激しい痛み』
『大腿(足の付け根からヒザまでの太ももの骨)に激しい痛み』
『失神』
『咳や血痰』
『全身倦怠感』など
様々な症状があるため【エコノミークラス症候群】と、すぐに疑いにくいこともあります。
症状の程度も軽いものから 意識障害やショック状態となる重症のものもあります。
しかし、避難しているかたが 急に突然 息切れや胸の痛みを訴えれば 救急車を呼びましょう。
元サッカー日本代表も発症した【エコノミークラス症候群】
元サッカー日本代表:高原 直泰(たかはら なおひろ)さんも発症した【エコノミークラス症候群】。
高原直泰 オシムジャパンで初ゴール 2007/3/24 Peru vs Japanhttps://t.co/2CDq9TWB0K
— サッカーゴール動画bot (@b_snns) 2019年2月27日
発症した当時の様子は ↓以下のものでした。
2002年(平成14年)当時 高原選手は ポーランドでの代表戦後、フランス経由で日本に帰国途中でした。
フランスまで3時間のフライトでしたが、機内はとても狭く 荷物も足元に置いていたそうです。
ポーランドでの代表戦後の水分補給も足りない中、フランスまでの3時間を過ごしました。
(つまり、水分不足の脱水状態 かつ 窮屈な姿勢で過ごしたのです)
フランスの空港に着くと “ 呼吸するごとに左胸に痛み ” を感じたそうですが、とくに酷い症状でなかったため 日本へ帰国後も2試合のリーグ戦に出場。
しかし、その後 高原選手は夜中に激しい痛みを感じました。
病院へ行くと 即入院。
高原 直泰選手の検査結果は【エコノミークラス症候群】でした。
ショックなことに 高原選手は2004年にも再発をしました。
しかし、最初に【エコノミークラス症候群】を経験していたので すぐ病院へ行ったようです。
高原さんは 現在も再発するリスクはあるため、国内でも飛行機に乗る時は、ヘパリンという抗凝固薬を皮下脂肪に注射したり 水分補給や弾性靴下をはいたりなど 健康に注意しているそうです。
なぜ【エコノミークラス症候群】になるのか?
そもそも、なぜ【エコノミークラス症候群】が発症するのでしょう。
【エコノミークラス症候群】とは=肺を含む静脈に血の塊(血栓)ができることで起こる病気。
はじめに【エコノミークラス症候群】は ふくらはぎから始まります。
ふくらはぎは “ 第2の心臓 ” とも呼ばれる部位。
その ふくらはぎには「ヒラメ筋((魚のヒラメ様に扁平広大な筋腹をもつのが特徴)」があります。
「ヒラメ筋」の中にある静脈はふくらみやすく出来ています。
ところが、長時間座っていたり 水分不足になると「ヒラメ筋静脈」がふくらみ 中の血液がよどみます。。。
さらには、水分不足で血液は濃くなり 血栓ができます。
この段階では 無症状なことが80%なので気づきません。
(この段階を 深部静脈血栓症とよびます)
気づかないため そのままでいると症状は進行・悪化します。
血栓が大きくなり 心臓方向へ伸びていき 骨盤内までいくと ちぎれて飛散します。
それが心臓を通り肺動脈を詰まらせます → →これが「肺血栓症」。
恐ろしいことに 血栓が大きければ死にいたることもあります。
深部静脈血栓症と肺血栓症を【エコノミークラス症候群】と言います。
自分たちが気づかないうちに 症状は進行していることもある【エコノミークラス症候群】。
う~ん、怖いですね。。。
発症したら、再発する恐れもある病気なので まずは予防が大事になってきます。
治療よりも予防を!【エコノミークラス症候群】
血液が固まらない薬も ずっと飲み続けねばならない【エコノミークラス症候群】。
また、再発の恐れもあるため 何よりも【エコノミークラス症候群】に罹患しない、発症防止が大切です。
特に災害後 避難所や車中泊では どんなことに気をつければよいのか、紹介します。
【エコノミークラス症候群の予防方法】
●長い間 自動車の座席で座った姿勢で睡眠しないこと。
●時々 歩いて運動する(無理なら足首だけも動かす・回す)
●なるべく手や足を伸ばして過ごす。
●ふくらはぎマッサージを行なう。
●見た目は悪いが「貧乏ゆすり」もお勧め。(足の血流の改善に☆)
●水分補給をする(避難所ではトイレが混むため 水分を控えようとするが危険です。)
●果物やお米にも水分は含むので 水が全く手に入らない時、水分が多い食物を摂取する。
●弾性ストッキングや弾性ソックスをはく(医療用ストッキングです)
●足にケガをしたら早期治療を!(打撲したら包帯や弾性ストッキングで圧迫する)
●体育館など避難所では 段ボールベッド(簡易ベッド)で寝る
駅やショッピングモールでも経験あると思いますが、女性の場合 トイレが混み合うことが多いです。
列に並んで待つのもストレスと感じ、トイレへ行く回数を減らす=水分を摂らない、という考えになりがち。。。
ですが【エコノミークラス症候群(肺血栓塞栓症)】の防止のため 水分補給をおこない トイレは我慢せず行きましょう。
また、わたしも知りませんでしたが「弾性ストッキング(靴下)」という特別な医療用靴下があります。
避難時には 運動するのが良いとわかっても それが難しいのが現状。
そこで、足を強く圧迫して血行を良くし「血栓ができるのを防止の効果」がある「弾性ストッキング(靴下)」がお勧めです。
ネットでも販売していますので、チェックしてみてください☆
「医療用弾性ストッキング・靴下」は 普通のストッキングと異なり 特殊な編み方で制作されたもの。
足の締めつけが強く ふくらはぎに貯まる血液を絞り出し 血流を良くします。
(足をしめつけるなんて 血流は悪くなりそう。。。と思いがちですが、違うようです)
また「弾性ストッキング」は、災害の避難時に履くとは関係なく、仕事上 立ち仕事や屋外の仕事、また[足に静脈瘤がある人]では 日常生活でも血栓が作られやすいので 着用するのも良いです。
最後に紹介した[ダンボールベッド]は、ツイッターより引用 頂いた画像をご覧ください。
“段ボールベッド”を配布 「エコノミー症候群」で https://t.co/oADRSZnStd pic.twitter.com/wntrhnCi0s
— テレ朝news (@tv_asahi_news) 2016年4月20日
体育館などの避難場では、夜に寝るとき「雑魚寝」になりやすいです。
すると、足腰の弱った高齢者も 起き上がってトイレへ行きにくい。
トイレへ行きにくいと・・・水分をとりません。。。
こういう避難所の睡眠環境も【エコノミークラス症候群】を発症しやすくします。
その点[ダンボールベッド(簡易ベッド)]では、高さがあるので 高齢者も立ち上がりトイレへも行きやすくなります☆
「雑魚寝」は窮屈な姿勢で寝がちですが、ベッドなら手足を伸ばせます。
そのため【エコノミークラス症候群】を防ぐためには[ダンボールベッド(簡易ベッド)]が効果があると期待されています (^-^)ノ
今回は【エコノミークラス症候群】について、その症状や発症例を紹介しました。
普段の日常生活において【エコノミークラス症候群(肺血栓塞栓症)】には 心配しすぎなくて良いかと思います。
しかし、万が一 地震や台風など災害後『避難所や車泊で寝泊まりの生活』をすることがあれば 大いに気をつけてほしい病気です。
地震や自然災害は起きてほしくないものですが、非常事態はいつ起きるか分かりません。
ですので、平時のうちに できる備えはしておきましょう。
以上「災害後の避難所や車中泊生活で注意すべき病気【肺血栓症(エコノミークラス症候群)の症状や予防方法】」 のお話を紹介しました。
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