地震に遭い がれきや 建物内の家具の下敷きとなってしまった場合、数時間後に無事 救出されたとしても 注意すべき全身障害があります。
その全身障害は・・・【クラッシュ症候群】です。
1995年1月17日阪神・淡路大震災において【クラッシュ症候群】という病名が 少しずつ知れわたりました。
救出されてから 数時間経った後に 症状が急に悪化。
その後 亡くなってしまうことにもなる 致死率の高い恐ろしい病気です。。。
【クラッシュ症候群】という名前も まだまだ知っているかたは 少ないですので 頭のどこかに覚えておいたら役立つのでは と調べてみました。
Contents
[クラッシュ症候群]は「挫滅症候群」とも言う
【クラッシュ症候群】は ほかに「挫滅症候群(ざめつしょうこうぐん)や圧挫症候群」とも呼ばれる症候です。
ウィキペディアにも説明がありますので、参考にしてください。
●挫滅症候群
挫滅症候群(ざめつしょうこうぐん)は、身体の一部(特に四肢)が長時間挟まれるなどして圧迫され、その解放後に起こる様々な症候をいう。
クラッシュ症候群(またはクラッシュ・シンドローム)とも呼ばれる。
重傷であることが見落とされる場合もあり、致死率は比較的高い。
(ウィキペディア「挫滅症候群」より引用)
【クラッシュ症候群】最初の症例は 1940年第二次世界大戦の最中ドイツ軍の空爆を受けたロンドンにおいて 瓦礫(ガレキ)下から救出された人々でした。
そんな【クラッシュ症候群(圧挫症候群)】は、災害時の どんな状況において 起きやすいのでしょうか。
体の一部が圧迫~解放されると起きる症状
【クラッシュ症候群】は、地震等で がれきや家具類の下敷きになった場合に気をつけます。
すぐに救出されれば良いのですが、2時間以上~長時間にわたり “ 下敷きの状態 ” だと起こりやすい全身障害だからです。
(1時間でも症例があるそうです。。)
がれき等で 腰や腕、腿(もも)などが “ 下敷きや挟まり状態 ” により、体の筋肉が圧迫されると まず「筋肉細胞が壊死(えし)」します。
壊死した筋肉細胞に伴い 体内の血中に[毒性の高い物質]が蓄積されていきます。。。
“ 下敷きや挟まり状態 ” のまま 長時間が経過したのち レスキュー隊や救助隊に助けられると 体の筋肉の圧迫が 一瞬で解放されます。
すると、さきほどの 血中の[毒性の高い物質(毒素)]が またたく間に 血液をめぐり 体全身へまわり 広がります。
この[毒性の高い物質(毒素)]が 心臓やその他の臓器機能を悪化させるのです。。。
(腎不全や心不全を引き起こします。)
最悪は 死に至るケースが多い。
【クラッシュ症候群】の怖い点は、救出時には 特に症状が出ないため 重症であっても 本人も分からないところ。
また 周りの人も気づきません。
しかし・・・
●がれき等の “ 下敷きや挟まり状態 ” が長時間の場合。
●軽めでも筋肉痛や手足がしびれたり、脱力感を感じる。
●挟まれた部分の感覚がない(知覚麻痺)
●挟まれた部分が動かない(運動麻痺)
●損傷部の腫脹(しゅちょう)。
●尿がおかしい、血尿であったり 濃い茶色の尿、または尿の量が少ないなど。
上記の症状があれば【クラッシュ症候群】の可能性が高いので「早期治療」を行なう必要があります。
【クラッシュ症候群】治療は大量輸液、透析や集中治療
【クラッシュ症候群】のばあい、治療方法は多岐にわたります。
まず 現場においては 血液中の毒素をうすめる為「水分補給や乳酸リンゲル液や酢酸リンゲル液」を点滴します。
しかし それは応急処置であり、最終的には輸液を行なったり、血液透析・血漿(けっしょう)交換など『人工透析(じんこうとうせき)』が必要です。
さらに 投薬もおこないますし、高カリウム血症になっていれば、これを解消する薬も使用。
筋肉内の圧が高いばあいは、筋膜(きんまく)を切開して圧を下げ、手術後の感染を予防のため、汚れている筋肉や 壊死をおこした筋肉の 徹底した切除もします。
壊死した筋肉の切除を行なっても 敗血症を防止できない時。
また 治療しても 高カリウム血症や代謝性アシドーシスが改善しなければ、救命のため、圧迫された手足切断が必要になることもあります。
阪神淡路大震災やJR福知山線脱線事故で報告
【クラッシュ症候群】という病態は それまで ほとんど知られていませんでした。
しかし 1995年1月17日に起きた「阪神・淡路大震災」において 概算の記録で 少なくとも372人が発症、そのうち50人が亡くなった報告がなされ 知れ渡るようになりました。
また 2005年4月25日に起きた「JR福知山線脱線事故」でも 3人が【クラッシュ症候群】で亡くなり 1人が両足切断になりました。
2008年5月12日に起きたマグニチュード8、世界最大級の「中国・四川大地震」でも、瓦礫の下にいた人々が しばらくすると 心不全や腎不全で亡くなることが多かったようです。
【クラッシュ症候群】は 地震や戦争など ほとんどが特殊な状況下での報告ですが、地震災害では3~20%発生する恐ろしい病気です。
さらに 高層の建物での生存者のうち 40%に【クラッシュ症候群】が発症という報告も。。。
今後 大地震では 【クラッシュ症候群】という病態を 頭にいれておく必要があります。
【クラッシュ症候群】の方の救助
地震における「救助活動」では、早く救助するのが一番です。
しかし 長時間にわたり “ 下敷き状態 ” である【クラッシュ症候群】疑いのある人を、むやみに がれき下から救助することが 必ずしも最善とは言い切れません。
【クラッシュ症候群】では、救助された直後は元気でも その後 症状が急変する病態なのです。
それを理解し「レスキュー隊」を呼ぶ、早期から適切な処置を開始する。
集中治療や透析のできる 被災地外の病院へ搬送する。
そして 【クラッシュ症候群】の治療を 早期に開始することです。
このように 大きな地震が起きると「ガラス飛散」「住居内での落下物」「家具の転倒」など おおくのケガの原因が増え 震災前の「防止対策」が とても大切だとわかります。
部屋に置いてある 大きな洋タンス、本棚等 家具類の長時間下敷きになれば【クラッシュ症候群】になる可能性も高くなります。
地震が起こるまえに『家具類の転倒防止』は 平穏なときこそ しっかり耐震対策をしておきましょう。
以上「大地震の際に注意する病気【クラッシュ症候群(シンドローム)】とは~阪神淡路大震災で知られるように~」を のお話を紹介しました。
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